16e Semi-Marathon de Paris
初めてのハーフ・マラソン、「スミ・マラトン・ド・パリ」に参加してきました。時折雨も混じる肌寒い午前中のパリ、ヴァンセンヌ城の前を出発し、ナシオン広場、バスティーユ広場を抜けてパリ市庁舎まで走り、そこでUターン、セーヌ川を眺めながらバスティーユまで戻り、アップダウンのある中をヴァンセンヌまで戻りゴールする、という、21.1キロの行程を、自分で言うのも何ですが、見事、走破しました。タイムは1時間54分12秒。靴ひもに結んだチップのおかげで、早くもタイムをサイトで調べることができます。自分は、公式記録は1時間58分38秒、実際の記録は1時間54分12秒、順位は9755位、とのこと。2時間を切ることができました。単純に心から嬉しいです。応援コメントを下さった皆様にも心から御礼申し上げます。
6時20分に起床、バナナとクッキーにコーヒーの朝食をとり、ちゃんとトイレで体を軽くしておき、7時45分に職場の前で同僚ランナーたちと待ち合わせ、出発。メトロ1番線には凱旋門駅で我々が乗車した時には既にジョガーがぱらぱらと乗っていたのですが、ヴァンセンヌに近づくにつれてその数が増えていき、最後は9割方、ランナーたちで占められていました。既に半袖短パンの人もいれば、昨日配られていたビニールのカッパ(主として、スタートまでの寒い時間をしのぐためのもの)を羽織っている人もいて、ちょっと異様な雰囲気です。
スタート地点近くでは、早速、ケバブ屋台等が出始めています。男性用簡易トイレはいわば1つの木に三方から用を足すといったもので、用を足している後ろ姿は丸見え。いわば「立ちション」が合法的に行える装置でした。男女兼用の簡易トイレの方は、スタートまで1時間以上あるにもかかわらず、行列ができはじめている。昨日、ゼッケンを受け取った建物が今日は荷物預け場となっていて、その場でパンツ一枚になって着替えをしている西欧男を見ていると、彼らに勝つのは難しいだろうなぁ、と思ってしまいます。



エーグルのアウタージャケットを脱いで、ゼッケンを付け、バナナとエネルギー補給用のジェル(isostar PRO Total Performance ENERGY GEL)にiPodとデジカメを取り出し、不要品をディパックに詰め込み、荷物を預けてスタート地点に向かったのが9時15分過ぎ。合法トイレで用を済ませ、ストレッチで体を温め、色分け分類されたスタート地点へ。自分は、申し込みの時点で、無謀にも1時間40分を目標、というところをクリックしてしまっており、色はブルー。鉄柵で囲まれた場所にチェックを受けて入り込むと、結構、前の方だ。おそらくごぼう抜きされるんだろうなぁ、と思いつつ、旗を付けたペースメーカーのおにいさんを眺め、威勢の良いMCに耳を傾け、とある事情で1時間40分目標グループとなってしまった同僚と合流し、写真を取り合ったりして過ごしました。



やがて、各グループを隔てるアコーディオン柵が取り払われ、皆がぞろぞろと前進し始めます。ビニールのカッパがどんどん脱ぎ捨てられていく。凄い人口密度だ。足が絡んで転んだりしないようにしないと。「スタートまであと1分」のアナウンスに、iPodの準備を整えます。そして10時ちょうどに「パン」と拍子抜けするくらい軽いピストルの音が響き、スタート。1時間40分目標グループがスタートラインを横切ったのは約5分後。ICチップが本部コンピューターに情報を送っていることを想像しながら、心拍計とiPodを始動。とうとう人生初レースが始まりました。
案の定、次から次へと抜かれていくのですが、ゼッケンの色分けがさほど目立たないのでそんなに恥ずかしい思いをすることもありません。抜かれることよりも気になっていたのは、むしろトイレ(小)のことでした。肌寒い中で待たされたおかげで、50分ほどしか経っていないのにトイレに行きたい。困ったなぁ、でもまあ切迫していないからいいか。5キロ毎に設けられた補給ステーションのあたりにはトイレもあるんじゃなかろうか。そんなことを考えていたら、コースを離れ、森に向かって仁王立ちとなる男達が目に入り始めました。そうなると、次から次へと脱線者が出始める。およそ10メートルおきには立ち並んで、出たり入ったりが繰り返されています。そうか。森の中を走っている今がチャンスだな。ヘッドフォンにはプレイリスト1曲目、クイーンの「Don't stop me now」が響いていました。
森の道ではもうひとつ発見が。心拍計の方でスピード測定が上手く行われていない。。。タイムと心拍数は出ているが、スピードと距離の表示が「0」のままになっている。ううむ。他の人が使っている機械と混線でもしたのだろうか。仕方がない、iPodの方の表示を頼ることにしよう、と思っていたら、道ばたに「1キロ」の看板が。iPodではそれより少し少ない数字が表示されている。そうか、こういう表示がされるのだから、安心だ。時間はiPodのアナウンスで(2時間のワークアウトを選択していました。5分おきに時間の経過をアナウンスしてくれます)確認、心拍計では心拍数の確認、という役割分担ができあがり、かえってこれで雑念が抜けて走ることができるようになりました。情報に縛られすぎるのも時には考え直してみる必要がありそうです。
森を抜け、市街地に入ると、「ANIMATION」といってブラスバンド等の演奏が行われていたり、アパルトマンの窓から応援してくれている人がいたり、道ばたで拍手しながら声を掛ける人がいたり、と、たいそう賑やかです。そんな中、引き続き後ろから来る人たちに続々と抜かれながら走る。仕方ありません。レース序盤では心拍数が90%MAXを超えないようにすることだけに留意して走りました。抜かれても抜かれても、自分のペースを守り続ける。それに抜かれる方が自分の背中の150周年ロゴマーク・ゼッケンがより大勢の目に留まるだろう。「オハヨー!ゲンキデスカ?」と声を掛けていってくれるランナーもいたりして、一定の宣伝効果は上がっていそうです。
時折小雨が降る天候の中、遠くに見えた塔はバスティーユのものではなく、ナシオン広場の入り口のものでした。その広場では、最初の5キロ補給地点が設けられていて、ペットボトルをゲット。デジカメとiPodを左手に持ち、右手でペットボトルをゲットしてしまうと、カット・オレンジとかカット・バナナとかいった贅沢品にまでは手が伸ばせません。まあいいだろう、20キロ少々だから食べなくても。ゼリーも持ってるし。



「NATHALIE」と背中に書かれた女の子に抜かれながら、アルフィーの「スターシップ」にノリながら走っていき、やがて、何か聞き覚えのある通りに。バスティーユ広場の塔が見えてきて気付きました。家具屋さんの通りだ。ジョン・レノンの「Woman」でフォーブール・サン・タントワーヌ通りを気持ちよく走り抜け、大勢の人たちの声援に後押しされながら、広場を渡り、サン・タントワーヌ通り、リヴォリ通りと通過している最中にバングルスの「Eternal Flame」が。パリ市庁舎の少し先で折り返し、セーヌ川に出る直前、ついにザ・スクエアの「OMENS OF LOVE」が始まりました。市庁舎の建物を眺めやりつつ今後のスピード・アップを確信した瞬間です。


セーヌ河岸に出てから、レースが始まって初めて何人を抜いたのですが、心拍数が93まで上がっているのに気付き、スピードを落とそうとした時、アリスの「チャンピオン」が始まってしまうともういけません。つい乗せられてしまったまま再びバスティーユ広場へ。耳の穴に落ちてくる汗のせいでちょっと音楽が曇って聞こえてくる。いつも付けているヘッドバンドを荷物の中に置き忘れてきたことを呪いつつ、それでも走り続けます。
そして、再び飛び出したバスティーユ広場では、職場の同僚が息子さんと一緒に応援に来てくれていました。遠くに姿を発見し、向こうもこちらを発見した風だった時には、本当に嬉しかった。後ろに気を遣いながら、彼らの方に駆け寄り、手を振り返して、短い挨拶を終えると、再び走り続けます。
このバスティーユ・オペラのところがちょうど10キロ地点。再びペットボトルをゲットし、パンツのゴムに挟んでおいたエネルギー・ゼリーを一気に吸い出し、水で流し込みます。山下達郎の「土曜日の恋人」、ポール・マッカートニーとスティーヴィー・ワンダーの「エボニー&アイヴォリー」、そして松田聖子の「瞳はダイアモンド」といった名曲たちが流れる中、ナタリーに追いつき追い越し、心拍数が今度は93を超えることのないよう留意しつつ走り続け、12区役所の脇の長い坂道に到達。12キロ地点のこの坂が大変らしい、と聞いてはいたものの、確かに厳しい登りでした。焦るな焦るな。デフ・レパードの「ロケット」のリズムにあわせて歩調だけは一定に、歩幅は短く登っていき、登り終える直前にB'zの「OCEAN」が始まった時には、感興のあまりの高まりに肌が泡立ちました。一つずつキロを超えてやろう、そんな気持ちです。テーヌ通りの急な下りに随分楽をしつつ、その後に再びやってきた登りをこなし、ミスチルの「Hero」で確固たる足取りを刻みながら、再びヴァンセンヌの森まで帰ってきました。

15キロ地点の補給所。ペットボトルだけもらい、路上に散乱するペットボトル、オレンジの皮(バナナだけじゃなくオレンジも結構すべる)、スポンジに留意しつつ走り続けます。このあたりまで来ると、周りのペースが全体として少しずつ落ちてきます。こちらはといえば、「ふられ気分でRock'n'Roll」(トム・キャット)「ハイファイ・ローファイ」(スピッツ)「アドレナリン」(山崎まさよし)「(You Can Still) Rock in America」(ナイト・レンジャー)と、BPMの方も81.5から82と高まってきて、その音楽に足がついていってしまうなど、元気満々。「そうか、モンソー公園ならあと6周くらいだ。」と思ったのも気持ちが軽くなった要因で、ここからゴールまでのおよそ6キロの間は前半に抜かれた分の半分程度を抜き返す、爽快なごぼう抜きランとなりました。道が狭くて人が多いことから、右へ左へランナーを避けながらのランとなり、一瞬「こりゃ暴走族だ」などという思念が頭をよぎったりもしつつ、ちょっと屈折したサディスティックなよろこびさえ感じての走り。背中の日仏交流150周年ロゴマークのゼッケンも、さぞや誇らしげだったろうと思います。心拍計は一時102%MAXとかいう表示をしていたのですが、その後同じスピードを出しているのに97%くらいで落ち着いたりしていて、ちょっと不可解な時もあったりしたのですが、まあよいでしょう。曲は「Don't Want To Loose You」(グロリア・エステファン)「I'll Be Over You」(TOTO)「桜色舞うころ」(中島美嘉)「Overjoyed」(スティーヴィー・ワンダー)と静かながらも力を与えてくれる曲たちで、残り2キロのところで「心の旅」(チューリップ)に足をついていかせた時には神のように速かったと思います。「Good Bye」(ナイト・レンジャー)が終わる頃には残り1キロ。さて、決めてやるか、と、最後のパワーソング「僕はここにいる」(山崎まさよし)までスキップ。足に翼が生えたかのような神々しいラスト・スパートで、応援の人たちが沿道を埋める中を駆け抜け、走り終わった人たちが見ている中ゴール。1時間58分の表示が。あ、2時間切ってる。iPodと心拍計を止め、人の流れに沿って出口の方へ。愛内里菜の「Forever You ~永遠に君と~」が図らずも流れてきた時には、もうちょっと走れるかも、などと思ってしまったりするところ、音楽は怖いです。
靴ひもに取り付けたICチップを切り取って返却し、メダルをもらい、最後の補給所で再びペットボトルの水をもらうと同時に、今度はオレンジを。かぶりついた時のおいしさといったらありませんでした。
そのままでいると寒いので、預けた荷物をピックアップしに行き、アウターを着込んで一息。簡単なストレッチを行った後、同僚達がゴールしてないか、と再び到着地点の方に向かった時、急に向こうから来る人に名前をよばれ、その声のもとに目をやると、旦那さんと一緒にイギリスに引っ越したはずのフランス人の友人がジャージ姿でこちらに向かってくる。「おう、元気? で、、、何やってるの。」「ハーフ・マラソンに出たのよ。タイムはどうだった。」「1時間54分だった。」「凄いじゃない。」今日帰るのだとか。「連絡しあいましょうね。」
その匂いに負けてメルゲス・サンドウィッチを購入。ぼんやりと立ちつくして食べていたら、幸いなことに、ゴールした同僚たちに見つけてもらえました。後半、かなりばてていたが、無事完走した、とのこと。健闘をたたえ合った後、今夜の焼き肉屋での再会を期してお別れ。この駅始発となる地下鉄は充実した表情のランナーたちで一杯でした。中にはTシャツと短パンで、ゴールした後、すぐに地下鉄に乗ってるんじゃなかろうか、といった人もいる。今日は特別な日なのでしょう。これから、地下鉄の中にいるスポーツマンを見る目が変わりそうです。
帰宅後、再びストレッチを行い、お風呂に入って昼寝。夕方起きだし、松ちゃんへ。ランナーたち6人でお疲れ様会と相成りました。焼き肉が体に染み込むように美味しかったです。フル・マラソンは今日の距離の2倍あるんだ、ということを思うと、ちょっと引いてしまう部分も確かにあるのですが、それでも何とか頑張りたいものです。
とりあえずのところ、第1のステップは無事終了しました。事前に3回ほど20キロを走っていたことで、気持ちが随分楽になっていたことが、気負わずに走ることができた原因であり、勝因だったように思います。Nike+のグラフでは、じわじわとペースを上げて走っていた様子が右上がりのカーブに示されています。思い通りのレースができました。「初」にしては上出来です。1ヶ月後のフルに向けて、再び精進の日々が始まりそうです。




Commentaires
toshimac様、TK様、メイリー様
メッセージ、有り難うございます。
1ヶ月後の本番に向けて、明日から早速調整に入ろうと思います。一日たって感じ始めた筋肉痛が、これ以上発展しなければよいのですが。
また応援のほど、お願いします!。
Rédigé par: 迷亭 | le lundi, 03 mars 2008 à 23:16
完走おめでとうございます。
次は来月ですね。
応援に行けないのが残念です。
Rédigé par: メイリー | le lundi, 03 mars 2008 à 22:03
完走おめでとうございます!
好きな曲に乗って、パリを走り抜くなんてさぞかし気持ちが良かったことと思います。すばらしい挑戦をしているなぁと、刺激を受けました。次のレースもがんばって挑戦してください。
Rédigé par: TK | le lundi, 03 mars 2008 à 15:23
ハーフマラソンを走りきるなんてすごいです。
私もブログを一気に読み上げてしまいました。
また、パリをここまで味わえること自体すばらしい!と思います。
赤い彗星 かっこいいですね。
Rédigé par: toshimac | le lundi, 03 mars 2008 à 14:33