音楽

mardi, 28 novembre 2006

マーラー・交響曲第3番@サル・プレイエル

丸一日、細々とした事務を終え、夜は改装を終え今シーズンから再開したSALLE PLEYELでマーラーの交響曲3番を聴いてきました。
10年ぶりのこのホール、懐かしい雰囲気を思い出しながら、階段を昇っていくと、まだ真新しい塗装の匂いが残っていて、すっかりリフレッシュした雰囲気が伝わってきます。木のぬくもりに満ちた急勾配の階段や、オーケストラの舞台の後方に出来ていた座席を見て、改装が行われたことを確認。20時開演のところ、時間を過ぎても楽団員が入ってこず、若干心配になりましたが、会場内に携帯電話の音を消すように、という放送が流れると楽団員、合唱団が登場。プログラムによればオーケストラは96人、数えてみたところ女声合唱は32人、児童合唱は44人となっていて、随分規模が大きいです。

「交響曲第3番 ニ短調」 グスタフ・マーラー @サル・プレイエル
 
演奏:リール国立管弦楽団(Orchestre National de Lille)
女声合唱:London Symphony Chorus
児童合唱:Maîtrise Boréale
指揮:Jean-Claude Casadesus
アルト:Dagmar Peckova

銀河英雄伝説に使われていた冒頭のホルンの斉奏が決まり、音楽が流れ出しました。指揮者を見ながら音楽を聴くのは、やっぱり楽しいです。第1楽章の途中、瞼が落ちてきたのが、神経症的な金管の音に叩き起こされると、あとはずっと集中することができました。
長く、強烈で分裂症気味の第1楽章、可愛らしく軽やかな第2楽章、憧れに満ちた舞台裏から聞こえてくるトランペットの音色が印象的な第3楽章が終わると、アルトが入場。哲学的な第4楽章の後は、天国的な児童合唱の「ビン・バン」で始まる第5楽章です。10歳以下と思われるような子どももいる合唱団だけあって、楽譜を団扇代わりにするなど時々お行儀が悪いところもありましたが、よくここまで我慢したもの、と思いきや、案外あっさりと出番は終了。
そして、大好きな第6楽章です。昔、アッバード指揮、ウィーンフィルのCDでこの楽章だけを何度も何度も聴いたものです。バーンスタインのものも良いのですが、アッバードの方がクールで自然で、ある意味突き放すようなところがあります。それであるが故に、音楽を通じて表現されている何かに煩わされることなく、音楽という記号がもつそれ自体の美しさを感ることができ、また、その何かに干渉されることなく好きなように自分の内面に沈潜できる。「ゆるやかに、安らぎに満ちて、感情を込めて」という作曲家の指示には反するのかも知れませんが、自分としてはアッバードの表現方法が気に入っていました。で、今日の演奏ですが、大変感情が込められていました。いや、それを超えて派手でさえありました。ちょっと肩すかしを食わされたような印象も持ちましたが、これはこれで一つの解釈なのでしょう。違和感などというものは大抵の場合、それまでの習慣が生み出した勝手な印象に過ぎません。今日の演奏は今日の演奏です。楽しめました。
リールという一地方都市に国の支援も受けてオーケストラが設立されたのが1976年、今年はその30周年に当たるのですが、よく鍛えたものです。舞台の上で演じながら歌う歌手に合わせていく大変さがないが故の賜かも知れませんが、オペラ座管弦楽団とは比べものにならないくらいリズム感がよい。弦楽器、木管楽器、金管楽器、それぞれ存分に鳴らしてくれるのですが、全体を締めるパーカションが気持ちよいくらいに決まっていたのは、指揮者、カザドシュが打楽器奏者だったことが大きいのかも知れません。第1楽章で矯めたオーケストラが爆発する瞬間の指揮者の背中には、大きく悪魔が見えたような気になりました。1935年生まれというから今年71歳。とてもそうは思えない溌剌とした指揮振りでした。
サル・プレイエルの音響、好きになりました。適度な反響があって、かつ柔らかい。こういう素敵なホールが出来たというのは歓迎すべきことです。パリ公演の時にはシャンゼリゼ劇場を使うウィーン・フィルにも、是非このホールを使ってもらいたいものですが。。。
そして、最後に、オーケストラ曲というのは本当に人間を超越してしまうなぁ、ということを感じました。どんなにアクロバティックなことも、神経質なことも、大音量も、こなしてしまえる。第1楽章から第3楽章までを過ごした後、第4楽章で人間の声が入ってきてた時に、「あ、やっと地に足が付いた」そんな気分になりました。とはいえ、音楽だけで様々な気持ちを体験する事ができ、いろいろな心象風景を見ることができる、そんなオーケストラ曲も素敵です。帰り際、パリ管弦楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団の今シーズンプログラムをもらってきてしまいました。好きなものに狙いを定めて、時々行ってみようと思います。

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